nem_re_night’s blog

考察をつらつらと

すーみーにおーしーえーてー

目次

 

前書き

まずは

誘ってくれたwave

一緒に作ってくれたエリサちゃん、むーくん

企画者sumiさん

イラストレーターはれたさん

定期のLUMOさん

来てくれた皆さん、見てくれてる皆さん、ありがとう。

 

感想としては、完璧ではなかったけど、楽しかったです。

一つの作品として愛して貰えるように、物語の簡単なストーリーと実際のポエトリー、曲目を公開しようと思います。ぜひ、一度でなく二度や三度楽しんでください。(花に亡霊は飛ばしてください 😇)

 

今回のテーマは

ストーリーベースだと

「第一夜を軸として名もなき2人の男女の人生を描く」

企画ベースだと

「音楽、絵(定期)、詩を融合したい!」

でした。

それぞれについて解説すると長いのでまた、別で書こうと思います。

 

それでは、本文をどうぞ

 

本文

人生はまるでレコードのようだ

今まで歩んできた道が一本の線になっている

死ぬ直前になれば、それを辿って後悔の端まで鮮明に映し出す

もし、生まれ変わりがあるのだとしたらきっと前世の続きから線を引く

そうやって何重にも縁を重ねていく

これこそ輪廻であり、終わりのない讃歌を奏でるレコードなのだ

 

こんな話をしてくれた貴方は、鼻に掛けた様子で腰掛けた

僕はこの類の話をあまり信じてはいないが、娯楽としては好きだった

話が好きか、話し手が好きかはわからないが確かに僕はよく覚えていた

 

覚えていたと、表現するのはそれがもはや思い出の一つになってしまったからである

 

いつもの通りバス停で貴方はサイダーを持っていた

僕は変わらず、貴方に氷菓子を買っていく

靴の先には貴方の好きな小さな白い花が咲いている

あの時確かに貴方は言った

「風を待っている」と

 

寝ぼけ眼のままカプチーノを啜る

六月は雨模様の街を書いている

貴方がいなくなってから多くのものは捨てていた

残ったものは大きなキャンバス

なかなか減らない本棚

それと、擦れた背表紙の本                                                

拙いピアノソナタを鳴らすピアノ

月光に照らされたその本は、

手に取った瞬間に貴方の声がリフレインする

「形に残るものが全てじゃないから」

ページをめくる

僕は嘘つきな貴方に押され、町を出る

貴方との思い出を形に残すために

 

隣町の花火大会へ向かう

あれから何年が経っただろう

人混みが嫌いな僕たちは車窓から水面を眺めていた

夜空に咲く花を見下ろす、貴重な経験である。

いや、貴方はきっとあの澄み切った深い青の先で

きっと僕と過ごした時より多く見下ろしていたのかもしれない

ふと、白百合が香る、夏の匂いがする

 

貴方だけを覚えている

不意に見た丘の上に懐かしい姿が見えた

貴方だけを覚えている

忘れないように、色褪せないように

そう呟きながら描いた物たちは

風に踊る花たちのように動き出す

貴方の好きな白い花、名前は忘れてしまった

 

白百合香る道を走る

針が狂れる

忘れないように、色褪せないように

花に亡霊を見る

走る、逃げるように走る

百鬼夜行のように白百合を後ろに連れ、走る

丘の向こうには、バス停が見える

夏の匂いがする

 

氷菓子を頬張る、夏の木陰にて

貴方は、風を待っていた

 

本番ポエトリー・セトリ

 

人生はレコードだ。 

生きてきた証を刻み、死ぬ間際になぞる。 

思い出だけが本当なんだ。 

今まで歩んできた道が一本の線になっている。 

死ぬ直前になれば、それを辿って後悔の端まで鮮明に映し出す。 

もし、生まれ変わりがあるのだとしたらきっと前世の続きから線を引く。 

そうやって何重にも縁を重ねていく。いや生まれ変わりはB面かもしれない。 

くだらない話は置いて、針を落とそう。 

名もなき2人の人生に、燈を 

風を待っている。 

ただ、風を待っている。 

 

浅い木陰のバス停で、 

残った棒の味を確かめながら 

足先に咲いていた、 

小さな白い花を眺めながら 

僕たちは、風を待っていた。

 

又三郎

靴の花火

 

隣町の夜祭りへ向かう。 

2時間に1本の3両編成、 

夕暮れの車窓に手をかける。 

髪が靡き、横たわる白い片(ひら)に、 

針が狂れる(ふれる)。 

夏を待つ雲の霞青、1人足音のパレード。 

 

「形に残るものが全てじゃないから」 

貴方はそう言いながら、背表紙の擦れた本に日記を書いている。 

絵描きにはなんと痛い言葉なのだろうか。

「心に響くものが全てじゃないから」 

鼻に掛ける貴方は、拙いピアノソナタを弾いてる。 

 

いさな

チノカテ

 

日暮れの誘蛾灯が、 

情けなさと少しの覚悟を照らしていた。 

雑踏を掻き分ける足音は、 

追われているというより追いかけていた。 

忘れないように、色褪せないように 

口に出してもう一回。 

「忘れないように、色褪せないように」 

二カポずらして三度目を唱える。 

「忘れないように、色褪せないように」 

水でなぞったその白い花は、 

もう二度と枯れることはなかった。 

 

幼年期、思い出の中

花に亡霊

靴の花火

 

人生はレコードだ。 

生きていた証を刻み、死ぬ間際になぞる。 

 

貴方が私を視ていたように、私も貴方を見ている。 

 

次第に小さくなっていく街を、靴の先に咲く花を 

夏陰でピアノを弾いたこと 

深い雨の匂い、あぜ道一つ入道雲 

水面に映る月、花と車窓 

想い出の中の風景を書きとめる。

 

想い出の中の風景を描きとめる。

夜祭りの花火、貴方が好きな白い花 

氷菓子を咥えて、風を待っている僕ら 

僕を誘う、風に靡く髪を 

大人になって忘れていくこと 

ただ一つ忘れられぬ貴方を 

貴方だけを 

 

第一夜